図解でみるエネルギーのしくみ
Let’s Think ENERGY !
Vol.02
風力発電のしくみ
風力発電の風車は、どれくらいの大きさ?
どうやって、風の力から電気が生まれるの?
風力発電のしくみ、そのキホンを解説します。
風から電気を起こすしくみ
風力発電は、風力発電機と呼ばれる設備を使って発電します。
風力発電機の上部に付いている「ブレード」と呼ばれる羽の部分に風が当たると、「ブレード」が回転し、その回転が「動力伝達軸」を通じて「ナセル」と呼ばれる装置の中に伝わります。
「ナセル」の中では、まず「増速機」という機械が、ギアを使って回転数を増やし、回転速度を速めます。その回転を「発電機」で電気に変換しているのです。
発電された電気は「塔体」の中を通って「トランス(変圧器)」で昇圧され、送電線(または配電線)を通って届けられます。
ちなみに「ナセル」の中には「ブレーキ装置」も付いています。どうしてわざわざブレーキが付いているのかというと、台風や点検の時には、危険なのでブレードの回転を止める必要があるためです。
大きさはどのくらい?
風力発電機の高さは、地上に建設される場合でも、高いものでは100m以上のおおきさになるものもあります。
「ウインドファーム浜田」に設置された風力発電機の高さはおよそ107m。(ナセルの位置だと70m)
人間や建物と比べてみると、とても大きいことがわかります。
風を受ける位置が高いほど、風力発電機は上空で吹いている強い風を受けることができるので、発電効率がよくなるのです。
そして、上部に付いている羽の部分「ブレード」の直径はおよそ74m。
旅客機ボーイング777-300ほどの大きさのものが回転していることになります。
また、最近は大規模な風力発電が可能な洋上風力発電の開発もすすんでいます。洋上風力発電用の発電機はさらに大きく、180mを超える発電機もつくられるようになりました。
どのくらい発電できるの?
例えば「ウインドファーム浜田」に設置された、風力発電機。1基が発電できる発電容量は定格出力で1.67MW。この発電機1基が1年間フル稼働ができれば、年間約1,463万kWhの電力を生み出すことができます。
ただ、どんな場所でも、風は吹いたり吹かなかったり、また、強さも千差万別なため、発電できる量には制限があります。この、発電設備の定格出力に対する年間通じた発電量の割合を設備利用率といいます。
「ウインドファーム浜田」では、年間20%の設備利用率を見込んでいます。
設備利用率が20%とすると、発電機1機あたり、年間約293万kWhの電力を生み出し、一般家庭およそ813世帯分が利用する年間使用電力をまかなうことができます。「ウインドファーム浜田」では、これが29基建設ですので、年間約8500万kWh、一般家庭およそ23,600世帯分の年間使用電力量を生み出します。
メリットとデメリット
風力発電は、一定の風速があれば、昼夜を問わず電力を生み出してくれる発電方法です。
一方、風が吹かないとき、風が弱すぎるとき、そして台風などの風が強すぎて危険なときには、発電することができないため、電力を毎日一定量供給するという「安定性」の面では弱い部分があります。
そのかわり風力発電は、火力発電や原子力発電のように、燃料を必要としないので、排気ガスやCO2、燃えかす、使用済み燃料の処理なども発生しません。地球環境にやさしい安全でクリーンなエネルギーとして普及が進んでいます。
どんな場所で発電しているの?
風力発電は発電量が風に左右されるため、「風況(風の吹き方)」のよいところに設置されます。同じ場所でも、夏場は風がほとんど吹かないなど、季節によって変化があるため、風力発電所の建設にあたっては、年間を通した風況を考慮する必要があります。
日本では、風力発電所は北海道や東北、九州に多く、多くの場合海沿いや山の上などに設置されています。また最近は、もっとも風況が安定していて、巨大な風車が建設可能な洋上での風力発電が注目をあびています。
日本全国の「風況」をくわしく知りたい場合は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が提供している「局所風況マップ」をチェックしてみてください。