Study
知ろう!エネルギーのこと

図解でみるエネルギーのしくみ
Let’s Think ENERGY !

Vol.03
水力発電のしくみ

昔から日本の電気を支えてきた水力発電。
どんなしくみで電気がつくられるの?
どんな種類があってどんな場所で発電されているの?
水力発電のしくみ、そのキホンを解説します。

水力から電気を起こすしくみ

水力発電は、水が高い所から低い所へ流れる時の位置エネルギーを利用して、発電を行います。
高いところから低いほうへ勢いよく水を流し、その中に発電用のポンプ水車を設置し、その水車の回転で発電機を動かすことによって発電を行います。
水力発電は水力をどうやって発生させるかによって様々な種類があります。

どんな種類があるの?

流れ込み式 調整池式、貯水池式

大きくわけると河川や農業用水路などに発電用水車を設置する流れ込み式や、ダムに貯めた水を放流することで発電する貯水池方式、調整池式、揚水式があります。
ダムを利用する調整池式、貯水池式、揚水式は、発電量の増減の調節が短時間にできるため、電力の需要状況に合わせて稼働させることができます。

特に揚水式水力発電は貯水池を上流と下流に持ち、電力需要が少ない時間に余剰となった電力を使って、水を上流の貯水池に揚げ、電力需要が高くなる時間に下流の貯水池に放流・発電をすることで、電力供給の過多/不足のいずれの場合にも調整を行う役割を果たしています。

どれくらい発電してるの?

2,076万kW
× 39% 年間設備利用率 = 2,098万世帯/年

2012年現在、日本では国内にある一般水力発電設備容量(揚水発電を除く)は合計で約2,076万kW。もし、これらすべてが100%発電を一年間続けることができた場合、約1,819億kWh(一般家庭約約5,051万世帯分の年間消費量)を賄うことが可能です。

ただし、水力発電の発電量は河川の流量や貯水量の変化、堆積する土砂等の影響よって左右されます。また、ほかの発電設備との発電量の調整にも利用されるため、2012年の実際の発電量は約755億kWh(一般家庭 約2,098万世帯分の年間消費量)となり、その設備利用率は約39%にとどまってっています。

メリットとデメリット

水力発電は水という再生可能エネルギーを有効活用した、もっともクリーンな発電手法です。温室効果ガスも大気汚染の原因となる酸化物も排出しないうえ、水流や水量を変化させることで、発電量を容易にコントロールすることができます。

山や起伏に富み、水資源にめぐまれた日本にとっては、優秀な純国産エネルギーと言えます。

ただし、大型発電所の建設は、森林など自然環境に対する影響が大きく、大規模建造物であること、需要地からの遠隔地に建設されることなどから多大な建設費用や送電コストがかかるといった問題点もあります。
また、水資源を利用するため、その年の降水量によって影響をうける場合があります。

どんな場所で発電しているの?

6億100万m3
東京ドーム 約485杯分

大型の水力発電所は、大量の水を確保することができる、山間地に建設されます。

ちなみに、現在、日本で最大の一般水力発電所(揚水発電所をのぞく)は奥只見発電所。その最大出力は、56万kW。ダムの最大貯水量は6億100万m3。ただ、そういった大規模な発電所の建設候補地は、すでになくなってしまったといわれています。

上下水道や農業用水路など
エネルギーの地産地消

そんな中、最近は、基本的にある程度の落差と流量のあるところであれば、場所を問わない、小水力発電が見直されています。

小水力発電は大型の発電所のような自然への影響が非常にすくなく、私たちの生活圏に近いところで稼働が可能です。また、太陽光や風力発電よりも天候に左右されないので、エネルギーの地産地消の観点からも注目されています。

せっかくの純国産エネルギーの水力発電。この小水力発電等の利用率を高めることで、ほかの発電手法への依存度を下げることが可能かもしれません。