図解でみるエネルギーのしくみ
Let’s Think ENERGY !
Vol.05
地熱発電のしくみ
地熱資源を有効活用する地熱発電。
どんなしくみで電気がつくられるの?
どんな種類があってどんな場所で発電されているの?
地熱発電のしくみ、そのキホンを解説します。
地熱発電の基本的なしくみ
地熱発電では、地下のマグマの熱エネルギーを利用して発電をおこないます。
地上で降った雨は、地下の高温マグマ層まで浸透すると、マグマの熱で蒸気になって地下1000m〜3000m付近に溜まります。
井戸などを掘ってこの高温の蒸気を取り出し、タービンを回すことで発電するのが、地熱発電の一般的なしくみです。
どんな種類があるの?
地熱発電には、大きく二つの方法があります。発電用のタービンを回すために、地下の高温の蒸気を直接利用する方法と、沸点の低い別の流体を利用する方法です。
それぞれ、主にフラッシュ方式、バイナリ方式と呼ばれています。
地下から200℃以上の高温の熱水をくみ上げられる場合に適した方法です。
地下の熱水の貯留層から、鋼管杭で蒸気を取り出し、タービンを回すことで発電する方式です。
発電に使われた後の蒸気は、冷却塔で冷やすことにより水になります。
この水を地下に戻すための井戸を還元井といい、最初に高温の熱水を取り出すための井戸を生産井と言います。
バイナリ方式は既にある温泉熱(水)・温泉井戸等を活用した方式で、新たな掘削、還元井等は使用しません。
まだまだ導入の余地がある発電方式であり、新たな掘削等も必要としないため、環境にも優しい発電方法と言えます。地下からくみ上げられる熱水の温度についても、100℃程度が目安で、既存の温泉施設等に発電施設を追加で建設することも可能です。
水よりも沸点の低い有機媒体等を熱水で温めて作り出した蒸気によってタービンを回し、発電する方式です。
どれくらい発電してるの?
資源エネルギー庁の資料によると、地熱発電は、2014年時点で約52万kWの設備容量が認定されています。
地熱発電は年間を通して高い設備利用率で発電し続けられることが特長です。
一般に、地熱発電の設備利用率は80%以上とも言われます。
先ほどの設備容量について、設備利用率80%で稼働させたとすると、年間の発電量は約36億kWh。一般の家庭 約100万世帯分の年間消費電力量をまかなえる計算です。
メリットとデメリット
地熱発電のメリットは、CO2をほとんど出さずにエネルギーを作り出すことができる点です。
また、地球内部のマグマの熱を使うので、エネルギー源が枯渇する心配はまずありません。太陽光発電や風力発電のように、発電量が昼夜、年間で変動することもなく、安定した発電量を得られることも、大きなメリットです。
環太平洋火山帯に位置する日本は、世界でも有数の豊富な地熱資源に恵まれており、そのポテンシャルは現在の設備容量の約45倍、2,347万kWもあるといわれています。
良いことずくめのような地熱発電ですが、発電設備を作るための調査や開発には大変な時間とコストがかかります。
それが日本にはポテンシャルがあるにも関わらず、地熱発電の設備の導入が進んでない理由の一つです。
導入が進んでいない、もう一つの理由は、地熱発電に適した場所が国立公園の中であったり、温泉地であったりすることにあります。
どんな場所で発電すればいいの?
地熱発電に適しているのは、火山の近くの平坦な土地です。
日本国内だと、断層の付近、主に北陸・東北・九州・北海道などに高いポテンシャルがあると考えられています。
地熱発電設備を作るためには、高温の蒸気がたまっている層まで掘削する必要があるのですが、山だとその分、深くまで掘削しなければならなくなるため、コストを抑えるためには海抜の低いところが適しています。