昨日、国会で電気事業法の改正案が成立しました。
それによって、電気の「小売」が完全に自由化されることになりました。
そもそも、電力の自由化って、どんなことでしょうか?
ちょっと考えてみましょう。
電力自由化の背景
電気事業の分野に、自由な市場競争を導入する制度改革のことを、一般に「電力自由化」といいます。
かつて日本では、政府が電気料金を規制することを条件に、電力会社にそれぞれの地域における独占を認め、電力会社は各地域において発電から送配電、需要家への小売まで一貫して電気事業を担ってきました。
この電気事業の地域独占は、日本が戦後の電力不足の中から復興し、高度経済成長を遂げるためには、とても効率的な仕組みでした。
しかしバブル経済が崩壊し、経済の低迷が続くようになると、電気事業の高コスト体質や外国との料金格差が問題視され、「電気事業にも自由な競争原理を取り入れるべきだ」という制度改革が唱えられるようになりました。そして、電気事業について定めた「電気事業法」が3回にわたって改正され、電気事業は段階的に自由化されたのです。
電力自由化までの経緯
1)発電の自由化
1995年の電気事業法改正では、電気事業のうち「発電」が自由化されました。電力を供給する電力会社に対して、発電して電気を提供する「独立系発電事業者(IPP)」の新規参入が可能になりました。
2)大規模需要家への電気供給自由化
続く1999年の電気事業法改正(2000年施行)では、電気事業のうち「小売」が一部自由化されました。販売電力量の26%にあたる大型工場、デパート、オフィスビルなどの大規模需要家への電気供給が自由化され、「新電力(PPS・特定規模電気事業者)」と呼ばれるあたらしい電気事業者が参入できるようになりました。また、自由化された部門では、電気料金の規制が撤廃されました。
3)中規模需要家への電気供給自由化
そして、2003年の電気事業法改正(2004年一部施行、2005年全部施行)で、中小の工場、スーパーマーケット、中小ビルなどの中規模需要家(契約電力50kW以上・高圧)部門が自由化されました。これにより、販売電力量の半分を超える、62%が自由化に至りました。
4)一般家庭などの小規模需要家への電気供給自由化
2014年の第186通常国会では、電気事業法の改正案が成立しました。この改正案により、2016年から、いよいよ一般家庭などの小規模需要家部門も開放され、電気の「小売」が完全自由化されることになります。業界を問わず様々な企業が市場への参入を狙っています。
2016年の自由化で、われわれ電気の利用者も様々な選択肢を与えられることになります。電気自体に色はありませんが、様々なサービスが提供されることが想定されます。
さて、どんなサービスが提供されるのでしょうか?
安いエネルギー? クリーンなエネルギー?
いまから楽しみですね。